確かおとといの夜だったと思う。
俺はふとんの上で死闘を繰り広げた。
相手は、
蚊。
こいつは俺が寝ようと思うと耳元で羽音をたてて、睡眠を妨害する。
「アースノーマット」又は「蚊取線香」がほしかった。
しかし今はそんな兵器はない。
今夜こいつに勝って安眠するためには、両手でパチンとはさんで潰すという術しか残っていないのである。
うつぶせの俺の耳元で「ぷぅ~ん、ぷぅ~ん」と飛んでいる音が聞こえた。
とりあえず耳を自分の手で「バチンッ」と叩く。
耳が痛い。我ながら強く叩きすぎた。
しかし羽音は消えた。寝ぼけざまの俺はこの時点で勝利を確信した。
しかしヤツはそこまで弱くなかった。
10分後。ようやく深い眠りに入ろうかというそのとき、
「ぷぅ~ん、ぷぅ~ん」
・・・・ヤツだ。
まだ勝負は終わっていなかったのである。
俺はそのとき、手の平と腕にかゆみを感じた。
なんと1cmくらいぽっこりとふくらみかゆみを帯びていた。
やられた・・・。
すでにヤツは俺の血を吸い上げていたのである。
しかしまだ物足りないのか、俺を威嚇し続けている態度に腹がたち、ついに俺も本気になった。
布団から出て電気をつける。
時刻は午前1時30分。部屋の中でただ一人、ずーっと空間を凝視する俺がいた。
フラフラと飛ぶ蚊をとらえようと俺は必死で空間を見つめた。
しかし俺の目は結局ヤツをとらえることはできなかった。
「もうだめだ・・・。」
俺は負けを認めた。
こうなったらあとは防御するしかない。
俺は蒸し暑い夜中、ふとんを頭まですっぽりとかぶりヤツから身をまもった。
朝になると汗だくになっていた。
そしてそのままアクエリアスを一気飲みして腹をこわした。
無念・・・。