朝4時。テントで眠る俺は、ある夢を見ていた。
その夢とは、こんな夢だった。
友人とどこかへ出掛けている場面。俺はものすごくトイレに行きたくなった。
そしてトイレで用を足す。
しかし出すものは出したハズなのに、またトイレに行きたくなる。
俺 「わりぃ、ちょっとまたトイレいってくるわ!」
友人 「え?だって今行ったばかじゃん」
俺 「そうなんだけど・・・なんか何回行ってもスッキリしないんだよねぇ」
そう夢の中で友人に告げると俺はまたトイレで用を足す。
しかしまたすぐにもよおしてくる。それの繰り返し。
そしてある瞬間、目が覚め現実に戻った。
そのとき、自分の膀胱のキャパシティーが限界である事に初めて気づいた!
やべぇぇぇぇぇ!
ものすごい勢いでシュラフから出て、テントのジッパーをすごい勢いで開け、いちもくさんにテントの外へ。
そして放出。
長い・・・とてつもなく長い小便だった・・・。
しかし危なかった・・・あやうく
おねしょするところだった。あの夢はその前兆だったに違いない。
そんなツーリング最終日の始まり・・・。
あの大慌ての出来事から2時間後の6時、俺と月本氏はほぼ同時に起床。
テントから出てコンロで牛乳と缶コーヒーを温める。
今朝はキリがかかっていて夜露もかなり大量。テントがびしゃびしゃだ。
気温自体そこまで低くないハズなのだが、この湿度のせいかやけに寒く感じる。
缶コーヒーを温めていると、俺はどうも右目のまぶたに違和感を感じた。
なんかやたら重い感じがする。
鏡で見ると、右のまぶたが殴られたのようにはれぼったくなっている。
月本氏に見せたら大爆笑された。
なんか変な虫に刺されたっぽいなぁ。
温めた缶コーヒーとパンで朝食を済ませているうちに時刻は7時過ぎ。
そろそろ日が出てもいい頃だ。
日が出てくれないとビチャビチャのテントを乾かすことができない。今日は最終日ゆえに完全に乾かしてから撤収したいものだ。
月 「あーこりゃキリじゃなくて薄曇りってやつだな」
俺 「あーまじっすか・・・」
とりあえず太陽が出る確率は低くなってしまったので、吸水セームやタオルなどでフライシートの水気をふき取ることに。水気さえふき取っておけば帰ってから干してもカビたりはしないだろう。
しかし8時半ごろになって雲がなくなり、待望の太陽が登場!
やっぱ太陽パワーは違うねぇ!
だいたい乾燥したので、テントをしまい、出発準備をする。
そして恒例の出発前記念撮影!
この写真を撮るのもこれでラストだ。
厚い雲はすっかりなくなり、さわやかな朝となった。
安らぎの森キャンプ場を後にし、K249で川俣方面へ南下。
この辺は道がせまく、路面もボコボコだったが、やはり紅葉はなかなかのもの。
長野や群馬の紅葉よりは全然色が薄いけど、これが最盛期だったらきれいなんだろうなぁ。ちなみにここは断崖絶壁でかなり怖かったです。
そしてK249からK23へ。
ここは8月に日光ツーリングへ行ったときも走った道である。
途中にあった、「蛇王の滝」。
月 「200m降りれば行けるみたいだわ」
俺 「せっかくだから行ってみますか!」
しかしこの選択は大失敗!
かなり傾斜の激しい登山道のような道を降りてきたはいいものの、下から見るより上から見たほうがきれいだった。
しかも逆光で写真もイマイチきれいに撮れないし。
月 「いや~これ帰り登るのキツイなぁ・・・」
そしてこれがその帰り道。
けっこう険しかったです。
フラついたら滑落死します。マジで。
月本氏、ヒィヒィ言いながらがんばってました。
蛇王の滝はとても微妙だったが、この先に有名な観光スポットがある。
川俣温泉には「間欠泉」があり、40~50分感覚で30mほどの湯柱があがるのである。月本氏は今回それを絶対見たいそうだ。
月 「もし20分待ちくらいだったら絶対見ようぜ!」
湯柱があがる間隔が長いため、運が悪いと50分待ちとなってしまう。
そのため、次にあがるのは何分後かわかる電光掲示板があるのだが・・・。
・・・あれ?
なぜか今日は時間が表示されていない。
俺 「あれ~なんででしょうね?」
月 「なんでだ~?とりあえず待ってみるか」
道のはじっこにバイクを停め、観覧台へ。
他にも湯柱を人一目見ようとたくさんの観光客が。
みんな谷底に視線を集中し、今か今かと湯柱があがるのを待ちわびていた。
しかしその湯柱はいったいどの辺からあがるのだろうか。どれくらいの勢いで噴出すのだろうか。
見たことがないので全く想像がつかない。
俺の予想では、どかーんってくらいの勢いで、さぞかし豪快に噴出すんだろうなぁ・・・なんて予想をしていた。
そして20分が経過・・・。
まだ噴出さない。
俺 「出ませんねぇ・・・」
月 「前兆とかってないのかなぁ・・・出る寸前の」
俺 「いきなり来るっぽいですよね、もうちょい待ちますか」
月 「たぶんこれで帰ろうとした瞬間噴出すぜ!それで後悔はしたくないからな」
俺 「ですねぇ、そういうもんですよね」
俺と月本氏はもうここから離れられなくなっていた。
もし離れた直後噴出したら最悪だ。
周りの観光客はけっこう入れ替わり立ち代りだ。
「今日は出ない日なんだよ」とか、「何分後かわかんねーから帰ろうぜ」とかなかなかみなさん待つことができないようだ。
たぶんずっといたのは俺と月本氏くらいだと思う。
そして50分が経過。
俺 「ほんとにコレ、出るんですかね?」
月 「もう50分経つもんなぁ・・・」
俺 「じゃああと15分待ってでなかったら先へ進みましょう」
月 「よし、そうするか!」
ここまで待ってしまったもんだから、今更後へは引けない2人がいた。
谷底は特に変化は見られない。
岩のすき間からけむりが立ち上る光景も見飽きてしまった。
タイムリミットまであと5分。
もうすでに1時間が経過。
今日の間欠泉はほんとの定休日なんじゃないかと思ったその瞬間!
あ、
出た。
「オォー」と歓声があがる。
ようやく出た。しかしそこまで激しいものではなかった。
ちょっと期待はずれ。
月 「なるほど~そういうことか・・・」
俺 「微妙・・・でしたね。いやぁ~でも見れてスッキリしました」
---ツーリング後知ったのだが、実はこの川俣温泉の間欠泉、今ピンチを迎えているそうである。湯柱の噴出す間隔が昔よりだいぶ長くなり(昔は20分間隔であがっていた)勢いも衰えているという。以前は地響きが轟く位の勢いで噴出してきたそうだ。原因はいろいろ考えられるが、枯渇してきてる可能性もあるらしい。
このニュースを見たとき、「あーどおりで!」と納得してしまった。
しかしあの間欠泉がなくなったら川俣温泉は困るだろうなぁ・・・。
無事間欠泉を拝めた俺と月本氏はその後昼食をとるため近くの定食屋へ。
俺と月本氏はどうしてもイワナの塩焼きが食べたかったのだが、ここはちょうどそれがあった。
俺はイワナ定食。月本氏は山菜定食にイワナの塩焼きを単品で注文。
おそらくツーリングらしい食事をするのはこれが最後。
そのラストに見合った昼ごはんだったと思う。
昼食を済ませると時刻は1時。
今日は間欠泉を見たりでまだ全然進んでいない。
ここからはちょっと急ぎ足で進むことに。まず奥鬼怒林道で日光の戦場ヶ原へ。
奥鬼怒林道をハイペースで走ると、かなり楽しい。
ここは8月にも通ったところだが、秋に来るとまた違った表情である。
そして戦場ヶ原へ。
いろは坂付近はまだ紅葉してないみたいだが、この辺はきれいに紅葉している。落ち葉の中を走るのはこれまた爽快だ。
奥鬼怒林道からR120(金精道路)を沼田方面へ。
この道の車の多いこと多いこと。しかもみんなノロノロ。
今までストレスの無い道ばかり走っていたので、この道だけは耐えられなかった。
この時期の日光周辺はバイクで来るもんじゃないなぁ。
そしてR120からR401へ入った。
ようやく車が少なくなり快適に走ることが出来た。
目指すはこのツーリングラストの紅葉を楽しむ道、K63。
ここは尾瀬のすぐ近くを縫うように走る、関東屈指の峠越えルートである。
いい感じに紅葉してるじゃないっすかぁ~!
やっぱいい道だねぇ!
でもその分車も多い。
峠を越えるともう紅葉を通り過ぎて落葉していた。
全然気温が違うんだなぁ・・・と痛感。
峠道を走り終えると、去年の群馬キャンプツーリングで訪れた、「奈良俣ダム」が見えてきた。
なつかしみながら記念撮影。
ここまで来たら後はもう関越道の水上ICを目指すのみ。
月 「あーいよいよ終わっちゃうなぁ・・・」
月本氏が淋しそうにしていた。
彼はもう9泊もキャンプをしているゆえに、普通の生活に戻れるのだろうか・・・。
K63からR291へ。
水上ICまであと5kmほど。
高速に乗る前に、温泉に入って体を温めて帰ることにした。
町営の温泉、湯テルメ谷川。
ここがまた大繁盛で、かなり混んでいた。
湯船に浸かりつつ、月本氏と今回の旅を振り返る。
体があたたまったところでバイクへ戻る。
俺 「じゃ、帰りますかぁ!」
月 「よーし!」
関越道水上IC。
ここから高速に乗り一気に帰る。
東関道の富里ICまではだいたい240kmくらい。
DR-Zでの高速移動もすっかり慣れてしまった。
水上ICから20km先の赤城高原SAまでは月本氏と共に走った。
そして赤城高原SA。
ここで会社へのお土産をお互い購入。
そして軽く腹ごしらえを。
揚げたてのコロッケ。うまい!
月 「あんまりガッツリ食うと高速で眠くなるからな」
俺 「いや、俺は常に風と戦ってるんで大丈夫です」
この赤城高原SAで月本氏とはお別れ。
その前に、この旅の成功を祝して最後の記念撮影!
「お疲れ様でした~!」
月本氏はガソリンを入れるというので一足お先に俺は出発。
6時10分、千葉を目指し走り出した。
その後30分くらいして、月本氏に抜かれる。
俺はマイペースでゆっくり帰って行った。
7時半、関越の大泉Jctから外環へ。
外環の川口Jctから首都高速S1へ入り、さらに湾岸線へ。
8時20分、ようやく東関道へ帰ってきた。
ここまで来ればあと少しである。
湾岸幕張PAで休憩していると、月本氏から自宅についた旨のメールが来た。
やはり大型ツアラーとはだいぶ差がついてしまうなぁ。
そして9時、俺もようやく自宅へ到着。
いや~疲れた。
走行は1267km。
福島キャンプツーリングの1204kmを塗り替えた。
しかし最近は1000km越えのツーリングも普通な感じになってきたなぁ。
それにしても今回のツーリングは天気も最高だったし、今までのツーリングでいちばん内容の濃い楽しいツーリングだった。
そして関東地方いいとこ取りのプランも大成功!
やっぱこれだけ多くの県をまわると、その日その日ごとの雰囲気とかもガラリと変わっておもしろいなと思った。
次回は青森に行くという話しも・・・。
たぶん来年の今頃でしょうな。
しかし月本氏の行った能登半島やなぎさのドライブウェイ、そして岐阜方面も気になる。行動範囲が広がると自然と欲が出てくるものだ。
紅葉狩りキャンプツーリング、
こうして最高の思い出と共に終わりを告げたのであった。
←本日の走行ルート
走行距離は424kmでした。