以前、ちょこっと触れたDR-ZのセミAT化カスタム。
もうすぐボーナスも出るし試しにやってみるかということで、セミAT化パーツ「リクルスZスタート」を取り付けてもらうことにした。
今回もお世話になったのは、
パワーアップメンテをやってもらった品川のTWMCさん。
クランクケースを開けての作業のため、バイクは寝かす。
なんか寝かして見るとコケたみたいな感じで見た目が実に微妙だった。
寝かせるとガソリンキャップから少しガソリンが漏れてきてしまったので、ハンドルの下に枕木を入れて少し角度をつけてやると漏れは止まった。このときバイク屋さんの中はガソリンスタンドと同じ臭いがしていた。火気厳禁である。
そしてクランクケースオープン。
当然のことながら開けるのは初めてだったので、じっくりと見る。ノーマルのクラッチプレート6枚を、厚さが薄いものに変える。その上にバネを乗せる。このバネの強さを変えることによって、高回転でギアがつながるか、低回転でつながるかを調整できる。俺は主にツーリングユースの設定にしてもらった。そしていちばん上にボールを円周上に並べたプレートをセット。
このプレートがオートクラッチの要となる。ボールが遠心力で外側に動き、プレッシャープレートを押し付ける仕組みだ。このパーツを付けることによって、ノーマルのクラッチスプリングとプレッシャープレートは使わなくなる。
そしてシックネスゲージを使い、プレートのクリアランスが0.7mm程度になるように調整。
作業的にはこれで終了。クランクケースを閉じて試乗してみることに。
クラッチレバーははっきりいって必要ないのだが、見た目のバランスと、自分でクラッチを切るときのためにつけっぱなしにした。でもノーマルのクラッチスプリングを外してしまったので、クラッチレバーのテンションはゼロ。小指でも操作できるくらいプランプランだ。知らない人が見たら絶対ワイヤーが切れていると思うに違いない。
ニュートラルでエンジン始動。DR-Zにはクラッチスイッチという面倒なシステムがついているので、プランプランなクラッチレバーでも一応にぎらなきゃエンジンはかからない。
そしてクラッチレバーには一切触れず1速にする。
「ガコンッ」
といつもどおりの感触。クラッチレバーを使わないのはやはり違和感がある。
そして発進。半クラッチも自動化されているのでアクセルをひねるだけで実にスムーズな発進だ。自分で半クラしながら出発するより全然うまい・・・(汗)
ある程度回転があがったら2速にチェンジ。ギアチェンのときのピッチングがない分よりスピーディーな加速になる。回転を落とさないでラクにギアチェンできるのはうれしいことだ。
エンブレも普通に使えるので、走り出してからの操作感に違和感はなかった。
試乗してみてこのシステムのおもしろさを知った。マジでラクだ。
欠点がなさそうなこのシステムだが、一応欠点もある。
まず坂道で駐車するとき、1速に入れても意味がないということだ。1速に入れておいても普通にタイヤは転がるので転動に気をつけなければならない。
それと峠道を走ってるとき、高いギアでずっと走っていると速度が落ちたときに自動的にクラッチが切れて、エンブレがきかなくなりカーブに突っ込むという危険性がある。
まぁこの2つはそんなに滅多にある状況じゃないし、アイドリングに近い状態で走らなければ全く問題はないと思う。
普段乗る上でいちばん気をつけなければならないのは、
1速で一瞬ふかしてすぐスロットルを戻すと必ずエンストする、
ということだろう。これは仕様なので慣れるしかない。
だからTWMCさんでは、慣れないうちは2速発進を推奨しているそうだ。
2速発進でも全く問題なく発進できるが、やはり通常発進に比べるとクラッチの減りは早いそうだ。まぁ当然のことだろう。
セミAT化を終えて店を後にする前に、店員の井出さんに
「オートクラッチも付けたし、次はエンジン降ろしてキャブの設定かえますかぁ!」
と意気込みを見せてくれた。話によるとそのカスタムで25%くらいトルクアップできるそうだ。しかも変える部品はキャブのメインジェットくらいらしい。
「高いキャブを付けるより、そして高いマフラーを付けるより、まずノーマルでいけるとこまでいきましょうや!」
と、実に心強いお言葉。エンジンを降ろしてのメンテは1週間くらい時間がほしいということなので、またそのうちお世話になろうと思う。
帰りの高速道路で早くもセミAT化の威力が発揮された。
パワーとかじゃなくて、
とりあえず料金所がメッチャラク!
いちいちニュートラに入れる必要がないのはうれしい。
それから走ってて思ったことは、クラッチという操作系統がひとつカットされたことによって、より走ることに集中できるような気がした。タイトな峠道でこの効果を実感できるかもしれない。
あとはしばらく乗ってみて、ミッション系統に異常がなければいいですが・・・。
一応このパーツ、肩書きはあくまでも「レース用」なので若干不安は残る。
でもいろいろネットで調べると、リクルスはエンデューロレースのような起伏の激しい路面とか、クラッチを酷使するような状況では不向きという意見も・・・。
まぁ、普通に乗ってればきっと大丈夫でしょう。
それにしてもクラッチレバーがあまりにもプラプラすぎて、
この張りのなさがちょっと気に入らなかったりする(笑)
走行5500km、俺のDR-Zに革命が起きた一日でした。