群馬のキャンプ場で迎える初めての朝。時刻は5時半。
またしてもこの音で目が覚めた。
「ぷぃ~ん」
衣鳩氏のテントだった。
普段の生活で5時半という時間だったら、まず起きようと思わない。
でもこの日は違った。ゆうべ早く寝たせいもあり、全然眠気がなかったのである。
全然眠くないのだが、とりあえず
寒い。
いや、シュラフの中は自分の体温で温められているからホカホカなのだが、いかんせんシュラフの外の空気が異様に冷たい。
ここでシュラフから出ていいのだろうか・・・。
ちょっと迷った。
外をガサガサ歩いている衣鳩さんにテント越しに話しかけてみた。
俺「衣鳩さ~ん、雨降ってますか?」
衣鳩氏「いや、降ってないよ~!」
とりあえず天気は悪くないようなので、ホッとした。
そして俺もついにシュラフから出て、テントのチャックをあける。
「ぷぃ~ん」
外に出てみた。
・・・・寒い・・・。思わず身震いした。
一夜明けたキャンプ場。
とりあえず、起きていきなりうんこがしたくなったのでトイレへ向かう。
このキャンプ場のトイレ、相当きれいだ。なんせ土足厳禁。備え付けのスリッパでないと入っちゃだめらしい。
奥の洋式に向かう。奥の洋式、きれいなのだが、なぜか
便座がズレていた。
おしい、実におしい。これがなければパーフェクトだった。(何が・・・?)それにしても便座にケツをつけたときの冷たさと行ったら相当なものだった。
ちょっとゆるめのうんこを終え、外に出ると衣鳩氏、
「紅茶でもわかして飲もうか!」
と言ってくれた。さっそくバーナーに鍋をセット。
この頃には竹本氏と月本氏も起きていた。
紅茶をわかしている間の一コマ↓
紅茶がわくと各々、マグカップに移して飲む。
寒い朝、外で飲む温かい紅茶は実にうまい。
紅茶を飲み終えると俺はそっこーでテントを撤収。荷物をまとめ終える。
出発予定時刻は9時。まだ余裕があったので、俺は近くの丘までバイクで散歩に出かけた。
景色が開けた場所まで来ると、雲の高さが自分のいる位置と変わらないのに驚いた。この辺はキャベツが有名らしく、そこらじゅうでおばあちゃんたちが朝からせっせとキャベツの収穫を行っていた。そういえば、嬬恋の高原キャベツって聞いたことがあったなぁ。
しばらくしてキャンプ場に戻ると、他の3人も荷物をまとめ終えていた。
9時になり、予定通り出発。キャンプ場使用料、200円を管理棟に払いいざ出発。まずは山を降りた先にあるセブンで朝飯。この頃になると、空は雲ひとつ無い青空に変わっていた。朝日がとてもまぶしかった。
コンビニで朝食をすますと再び走り出した。まずは温泉地で有名な、草津を目指す。またもや快適なワインディング。朝からかなり楽しげな道だ。
しかしここで小事故が起きた。道のど真ん中にカラスが2羽。
俺の前を走行していた月本氏。
そのカラスの前でクラクションを鳴らした。しかしカラス、よける気ゼロ。月本氏のFJRのフロントから「バンッ」という音が聞こえた。直撃はまぬがれたようだが、右側にいたカラスは羽を折られたのかよろめいていた。
このときいちばん後ろを走行していた竹本氏。そのカラスを見て、
「ずいぶんご老体のカラスなんだなぁ・・・」
と思ったそうである。いちばん後ろで見えなかったのであろう、竹本氏はそのカラスがはねられた事を知らなかったのでそう思うのも無理はない。
30分後、草津に到着。草津に入るとあっというまに硫黄のにおいに包まれた。4人で「湯畑」の近くにバイクを停めて付近を散策。
この湯畑、最初なんのためのものかわからなかったが、後で月本氏が調べた結果、「湯の花」を採取するための場所だそうだ。湯の花というのは、温泉の沈殿物のようなもので、これを入浴剤のように家庭の浴槽に入れれば、たちまち温泉気分が味わえるというスグレモノだ。上の写真の黄緑に見える部分、これは全部湯の花である。
この湯の花、もちろん売っている。月本氏が購入していた。
それと草津は、町営の温泉がたくさんあるのだが、すべて無料で入ることができるそうだ。俺たちはまだ出発したばかりで、着替えるのがめんどくさいので入らなかった。そして1時間ほど散策したのち、草津を後にした。
続いて向かうのは四万温泉のさらに上流にある、四万ダム。
草津からワインディングを2時間走ると到着。
今回のツーリング、別名ダムツーリングと言っても過言ではない。
この四万ダムを合わせて全部で3つのダムをまわる。
それもそのはず、月本氏は
ダムマニアなのである。
3つのダムのうちの最初のひとつである四万ダム。まず驚いたのだが高さ。
相当高い。
下に敷物をしいてのんびりおべんとを広げているひとたちがすごく小さく見える。
俺「ここ、ダンボールで滑り降りれそうじゃないですか?」
月本氏「ははは!やってみなよ!」
俺「・・・・。」
俺「ちょっときついですね。」
こんなとこダンボールで滑り降りたらダンボールより先に人間が先行してしまい、まっさかさまであろう。
高さに驚いた次は、水の綺麗さに驚いた。水が鮮やかな青なのである。
この青さ、何かの成分が溶け込んでそれが光を吸収してここまで鮮やかな青く見えるそうなのである。
ダムを十分満喫した後、ちょっと温泉街に立ち寄って昼飯を食うことにした。
バイクを低速で走らせ、定食屋さんを探す。
しかし、あまりにも静まり返ったこの四万温泉街。どこもかしこも閉まっている。
そんな街を見て竹本氏が一言。
「ここはゴーストタウンかぁ!?」
俺も同感だった。しかたないのでバイクを降りてじっくり街を歩いて回ることにした。
すると、車1台やっと通れるほどの道に、数件の食い物屋がのれんを出していた。俺たちはその数件の中からよさげな蕎麦屋を見つけた。
そこで頼んだ、蕎麦と親子丼セット。そしてきのこのてんぷら。
りんごのてんぷらも出てきたが、これはなかなか賛否両論だった。
それにしてもここの店のおばあちゃん。こういっちゃ失礼なのだが、マンガに出てきそうなくらいものすごいシャクレていた。こんな感じだった↓
でもフレンドリーでいいおばあちゃんだった。ご馳走様でした!
蕎麦を食って再びバイクで出発。この後、ショートカットのため、ダートを13km走る予定だった。ツーリングマップルにはこう書いてある。
『断続的に舗装路。フラットなダート13km』
これなら大型でもいけると判断しての結果だった。
ところがどっこい・・・その林道、かなりパンチがきいていた。
この後、大型バイクの竹本氏、月本氏が大苦戦を強いられることに!
続く...