紅葉狩りキャンプツーリング、3日目の朝を迎えた。
薄明るくなったテントの中で自然に目が覚める。
6時半。まだ太陽は山に隠れて出てきていない。やっぱり朝は冷えるなぁ。
いよいよ今日は、今回のツーリングいちばんの山場である奥只見へ向かう。
シュラフをしまったり、エア枕の空気を抜いたりしてるうちに7時になり、外はだいぶ明るくなってきたようだ。
俺はテントからごそごそと這い出て空を仰いだ。
テントから出ると、まさに今、山陰から太陽が昇ろうとしているところだった。
今日もきれいな青空が広がる。ツーリング日和になりそう。
歯を磨こうと洗面所に向かうと、ジョニーさんが事務所から出てきた。
俺 「あ、おはよーございまぁす!」
ジョ 「お、オハヨウ!お茶でもどう?インスタントだけどさ!」
俺 「あ、じゃあいただきます!」
ジョニーさんにコーヒーを入れてもらい、しばし朝のひと時をのんびり過ごす。
しばらくすると月本氏も起きてきた。
寝ぼけまなこ、そして寝ぐせのついた髪の毛でさわやかにあいさつを交わす。
月 「おはよ~ございます!」
ジョニーさんを交えて記念撮影。
にんびりしたムードの中、この五十沢キャンプ場の四季の変化だとか、この辺のことだとかいろいろ会話を交わす。
ジョ 「今度来るときはぜひ連絡ちょーだいよ!バーベキューの準備でもして待ってるからさ!」
ありがたいお言葉をいただいた。
五十沢(いかざわ)キャンプ場。ここはぜひまた来てみたいところだ。
時刻は8時半。俺と月本氏はキャンプの撤収を進めた。
そして9時、今日も元気に出発!
青空が実にすがすがしい。
ジョニーさんにお礼を言って五十沢キャンプ場を後にした。
日本一の米所、魚沼市を駆け抜ける。
そういえばせっかくコシヒカリの名産地にいるというのに米を食べなかったなぁ。
そしていよいよR352に入る。
ここはちょっと前まで国道なのに二輪車通行禁止という珍所だった。
まぁそれだけ道が入り組んでて危ないってことなんだろうけど。
地図上で見てもヘアピンばっかりなのがわかるのだが、実際に走るとほんとにそれを痛感。切り返し、切り返し、切り返しの先にヘアピンカーブという息の抜けない道だ。
そして枝折峠、銀山平を越えると、左手に日本最大の人造湖である奥只見湖が姿を現す。この湖沿いにつくられた道がかなり険しく、車じゃ絶対走りたくないようなカーブの多さ。もはやワインディングを楽しむというレベルの道ではない。
でもやっぱり景色はバツグンにいい。
紅葉もかなりきれいだ。
ところどころ停車して景色を堪能する。
そしてこの道でおもしろいのがコレ。
沢水注意の看板。
この道、ところどころで山からの沢をまたぐようになっており、道路の一部が川のようになっている。
そんなところがあるならとりあえずはしゃぐしかないでしょう!
足元をびっちゃびちゃに濡らしつつ、キャッキャいいながら沢で遊ぶ俺と月本氏。
いやぁ~楽しかった!
そしてこの風景。
今回のツーリングでいちばんお気に入りの一枚!
空の青が湖にうつってとてもきれいだ。
見所たっぷりの奥只見樹海ラインR352。
ここはほんと最高だった。
でも80kmずっと息の抜けない道だから、通して走ったらかなり疲れそう。
休み休みがいいですな。
そしてついに県境へ。
新潟県から福島県へ入ります。
長野、群馬、新潟と来て福島。
これで4県目です。
福島県へ入り、樹海ラインを走行し終わる頃にはおなかもペコペコ。
このあたりはつなぎを一切使わない、「裁ちそば」ってのが有名らしく、それを食べてみようということになった。
さぁさぁきましたよ裁ちそば!
そして右の物体はなんだと思います?
答えは「はっとう」という食べ物です。
そば粉ともち粉でできたそば餅で、砂糖と塩で味付けされてるそうだ。
月本氏はグロくてイヤだって言ってたけど、俺はけっこう好きな味。
甘くておいしい。
でも確かに好き嫌いありそうな味だな。食感とかザラザラしてるし。
みなさんぜひご賞味あれ。
おなかもいっぱいになったところで、再び走行開始。
いや~さすがに満腹になると眠気が・・・。
しかもこっからしばらくは国道の単調な道なので、危うくおちるところでした(笑)
こないだ6月に福島キャンプをしたときの、木賊温泉を抜け、ひたすらR352を走行。途中R121(日光街道)へ入り、福島県から栃木県へ。
この辺は途中に特に見所がなく、ひたすら移動のみって感じだった。
そして3時半、鬼怒川のさらに奥である、湯西川温泉郷に到着。
あとは今日のキャンプ地、安らぎの森キャンプ場を目指す。
湯西川温泉街からさらに山を登ったところにそのキャンプ場はあった。
しかし!!
入り口にはロープが・・・。
またしても嫌な予感・・・。
とりあえずロープをほどいて、キャンプ場内へ入ってみる。
100mくらい行くと受付っぽい建物を発見!
だがここもまた人のいる気配がない・・・。
俺 「今日、定休日だったりして・・・」
月 「ていうかこのキャンプ場、営業してんのかな?」
俺 「とりあえず別を当たってみますか?」
月 「そうだな、まだ時間早いし、他のキャンプ場探してみるか」
月本氏とそんな会話をし、帰ろうとした瞬間、建物の裏から「ヌッ」と人が出てきた。
びっくりしつつも、
俺 「・・・あ、今日って・・・キャンプ場やってないんですかね?」
と聞いてみる。
お兄さん 「あ、やってますよ!」
なんと普通にやっていた。
そのお兄さん、かなり言葉もなまっていて田舎っぽい人だった。
どうやら建物の裏で薪割りをしてたっぽく、山人って感じの容姿だ。
とりあえず受付を済ます。
今日はお客さんが誰もいないので、普段なら2500円するオートサイトを1000円で使わせてくれるという。いや~ありがたい。平日バンザイ!
かなり整備されていて芝もきれいなこのサイト。
「いいじゃんいいじゃん!」
とお互いテンションがあがる。
テントを張ってとりあえず寝床を確保!
そして月本氏のFJRに乗り、まずは湯西川温泉街の商店街まで、夜ご飯の買出しに行くことにした。
バイクで山を下ること10分。
湯西川温泉街へ。しかしなんとなく活気がなく淋しい温泉街だ。
昔ながらのって雰囲気だったなぁ。
いや~それにしてもなんというか・・・スーパーっていうもんじゃなくて、あれだ。あれ・・・○○商店みたいな感じ。
しかも仕入れ日の前だったっぽくてほとんどモノがない。でも必要最低限のモノは揃った。
仕入れ日ってのがウケるよなぁ(笑)
肉は「肉屋」じゃないと手に入りません。
しかもパッキングされた肉じゃなくて、その場でスライスする量り売り。
俺 「豚バラ300gください」
こんな注文のしかたするとは思わなかった・・・。
ここで
鹿肉とやらも購入!
キャンプ場に帰ってきてさきほど買った
鹿肉を自然解凍させる。この肉、馬刺しみたいにしょうゆなどで食べるそうだ。
しかしこの気温でいつになったら解凍するのだろうか。9.3℃である。
とりあえず流水にひたすことにした。
鹿肉を解凍させている間、風呂へ行くことに。
せっかく湯西川温泉にいるんだから温泉に入らねばもったいない。
月本氏のFJRに乗り、再び山を降りていった。
キャンプ場の紹介でここへ来てみた。ちょっと洋風チックなたたずまいの「ハミングバード」。入浴料は確か600円だったと思う。
中に入るとおばちゃんがこころよく迎えてくれた。
ここは露天もついており、星空を見ながらの入浴は最高だった。
6時半になり、風呂から出てキャンプ場に戻ることに。
ちょうど温泉街には若い年代の観光客が数人歩いていた。
彼らは明かりのある温泉街へ、俺らは真っ暗な山へ向かう。
オトコ2人で2ケツして真っ暗な山へ入っていくこの姿。
一歩間違えたら
変態である。
自殺志願者かとも思われかねない。
若者達はまんまるい目でキョトンとしながら俺らを見送った。
そしてキャンプ場に帰ってきた。
今日のキャンプ場は明かりがまったくない。
真っ暗闇にコンロの炎と俺と月本氏のヘッドランプだけがうごめいていた。
今日のメニューは初日と同じ水炊き。
俺 「あ、そういえば
鹿肉どうなりましたかね?」
月 「あーそんなのもあったなぁ・・・なんかもうどうでもいいな(笑)」
月本氏、ノリノリで鹿肉を買ったのに・・・。
とりあえず流水にひたされてる鹿肉を持ってきた。
俺 「おー、いい感じに解凍されてますよ!」
俺 「これで普通に食えそうですね!」
月 「・・・・・」
俺 「どうしたんですか?」
月 「いや・・・なんかさ・・・これグロくねぇ?大丈夫かなぁ・・・」
解凍されて生々しくなった鹿肉は、月本氏にとって危険物となってしまったようだ。
グロいと言われると、なんか俺もそんな気がしてきてしまった。
俺 「そう言われてみればそうっすね・・・。腹こわさないかな・・・」
月 「とりあえずt-matsuki食ってみろよ」
俺 「えぇ!?だって月本さんが食べたいから買ったんでしょう、この鹿肉!」
月 「俺が買って、t-matsukiが食べる仕組みなんだ!」
まるでジャイアンのような理屈に押され、とりあえず俺が先発で食べることに。
普通は薄く切ってにんにく醤油などでいただくんだろうけど、切るなんてめんどくさいことはやってられない。醤油をつけ一思いにかぶりつく。なんて贅沢な食べ方なんだろう。
さて・・・お味の方は・・・。
・・・うーん、始めは馬刺しみたいな感じだけど、後から独特の臭みがくる。ケモノ臭い感じというかそんな感じ・・・。
これは醤油にしょうがかにんにくを入れないとキツイ。
ていうかそもそもこんな一気に食べるものじゃないんだろうな(笑)
月本氏も同様の感想。
ごめん鹿肉・・・。
ほんとにごめん。
でも、もう・・・・・ぐふ・・・。
今回のツーリング、最後の晩餐を終え、時刻は8時半。
そろそろ寝る時間です。
ささっと片付け、テントへ。
真っ暗闇にボンヤリ光る俺のテント。
この光景を見るのも今夜が最後だ。
明日はついに最終日。
平和なキャンプ3日目の夜も更けていった・・・。
最終日に続く...
←本日の走行ルート
走行は距離は217kmでした。