6月7日の朝を迎えました。
病院の朝は早いです。6時に部屋の電気がつき、看護師さんが朝の検温やら血圧測定やら、忙しそうに各部屋をまわっています。
僕のところにも看護師さんがまわってきて、「朝はシャワー浴びる?」と聞かれたので、浴びることにしました。どうせ手術後はしばらく風呂に入れないだろうからね~。
さて、この日の朝食と昼食はもちろん抜き。
9時頃になり、病院から渡されたパジャマに着替え、手術前の点滴を受けます。
これで見た目が「健常者」から一気に「病人」になります。足には血栓防止のストッキングを左足だけ履きました。右足は今回手術するので何も装着せず。
ゆっくりと落ちる点滴の雫とテレビを見ながら午前中を過ごします。
お昼になり笑っていいともが始まります。
手術まであと1時間。
親知らず抜歯の時ほどの恐怖感はないものの、やはりこの感じは嫌なものです。
12時50分。いよいよ手術室へ移動です。
今回も歩いて手術室まで行くのかと思いきや、ストレッチャーに乗せられ、寝た状態で移動されるようです。ベッドからストレッチャーに移り、手術用の帽子を被り、メガネを外し、ガラガラーと2階の手術室へ移動されます。
自動ドアを1枚くぐると、名前と生年月日の最終確認。その後さらに自動ドアをくぐり手術室へ。
手術室内は例によって音楽がかかっていました。洋楽をあまり聴かないので曲名はわかりませんが、よく聞く曲です。
ストレッチャーから幅の狭い手術台に移され、担当の方々が僕の体に色々付けていきます。しばらくすると、手術室内に僕の脈に同調した「ポンッ、ポンッ」というあの電子音が響きます。
「matsukiさーん、緊張してますか?」
と執刀の先生に聞かれましたが、当然です(笑)
親知らずの手術の時は、このあとすぐ夢の世界へ旅立つことができましたが、今日は最初から最後まで意識有りの状態です。
ひと通り準備が整うと、いよいよ腰椎麻酔です。
この腰椎麻酔、事前情報でも、「けっこう痛い」「痛い」「大して痛くない」と様々な情報が錯綜しており、果たして実際どうなのか、真相を確かめる時がついに来ました。
まずは来ているパジャマとパンツを脱がされ、全裸の状態でタオルケットを掛けられます。その後横向きになり、頭を両手で抱え込みながら自分のおヘソのあたりを見るように指示がありました。
このスタイルか!
しかし、僕は体が堅いため、丸まり具合がイマイチらしく、「もうちょっと丸まってください」と何度か言われました(笑)自分的には超丸まってたんですが・・・。
その後腰に消毒液がかけられ、
「それじゃ、ちょっとチクっとしますが、びっくりして動いたりしないでくださいね~」
と言われ、ビビりながら針を受け入れます。
すぐにチクッという感覚がありましたが、これは全然痛くありませんでした。
しかしその後、針が奥にささってくると神経に触れるような実に不快な痛みが数回ありました。
しかしこれは耐えるしかありません。冷や汗が自分の体を伝っているのを感じます。
目をつぶって歯をくいしばってじっと耐えました。
「・・・く・・・くっ」
と食いしばるたびに、手術室に響く心音?が、
ポンッ、ポンッ、ポ・・・
ポンッポンッポンッポンッ・・・
と早まるのが恥ずかしかったです(笑)
この麻酔、けっこう時間がかかっていたので、もしかしたら痛みにビビった僕の丸まりが途中で弱くなり、やり直していたかもしれません。
麻酔が終わって仰向けに戻されると、まもなく左足の太ももあたりがあったかくなってきました。
こいつは即効性があるな~。
「どうですか?ちょっと足がしびれてきましたかー?」
と聞かれ、「はい」と答えているうちに、どんどん下半身が生温かくなってきて、シビシビしてきました。もはや自分で自分の足を動かすことはできません。
その後、バルーンが挿入されます。バルーンとは、尿道カテーテルのことで、いわゆるおしっこチューブです。30cmくらいある管が尿道に挿入されますが、麻酔が効いていてもちん○んがチクチクします。これ、麻酔が聞いてなかったらヤバイな(笑)
管を挿入後、看護師さんが僕の下腹部を押して、チューブから尿が出ることを確認します。
カテーテルを挿入した後、執刀の先生が僕の腕に氷をあてがってきました。
「これ、冷たいよね?」
と聞かれ、もちろん冷たいので「はい」と答える。
さらに僕の腰、太もも、足の裏と氷をあてがい、感覚をチェックしましたが、腕以外は「何かが当たっている」という感覚くらいしかありませんでした。
それを確認すると、いよいよ手術の開始です。
今回の手術は仰向けではなく、うつぶせで行います。
そのため尿道カテーテル挿入後、僕は総勢4名の方の力を借りてうつぶせにされました。なんせ僕が動かせるのはへそから上だけですから。まったくの無力です。
一応バタバタと手を動かしてみましたが、全く意味がありませんでした(笑)
そのとき、一人の看護師さんが僕の右足をかついでいたのですが、「彼が持っている足は誰の足なの?」というくらい感覚が麻痺しておりました。
恐るべし腰椎麻酔。
うつぶせにされると、足元で何が起こってるのか全くわかりません。視界には医療機器しか入りません。たまに緊張をほぐすためか、看護師さんが視界に入って話しかけてくれるくらいです。
さて、足の裏の切開はいつ始まるのか。
麻酔が効いてるとはいえ、切られる感覚くらいはあるんだろうな。
いつだいつだ?
いつだいつなんだ?
とうつぶせで待つこと15分ほど。
先生が足元で助手に「ホルマリン取ってくれる?」と言っています。
ほほぅ、摘出前にホルマリンを用意するのか。それにしてもこの15分間、一体足元で何が行われているんだろう・・・。いつ切開が始まるんだろう・・・。
と色々気になってしかたない。
そしてその数分後、看護師さんが俺にこう言いました。
「もう取れましたんで、後少しで終わりますよ~」
え!?
終わる?
ていうか、いつ始まってたの!?
ほどなくして、先生が俺の目の前に摘出された腫瘤を持ってきて見せてくれた。
「こんな感じで、ブヨブヨしてます」とピンセットでつついてみせた。それはまさに魚の心臓のような物体でした。
それにしてもこんなにも感覚がないとは・・・。
その後切開した場所を縫合し、手術終了。
麻酔やその他準備に30分、摘出手術自体は25分。14時前には終わってしまいました。
予定では2時間とっていたようでしたが、半分の時間で終わり一安心。
手術室を出て、寝かされたまま病室へ移動します。
病室に着くと、ストレッチャーからベッドに移動。
最初、「ご自分で移れますか?」と聞かれて、トライしてみようとしたのですが、上半身がクネクネしただけで、何も移動しませんでした。
結局看護師さん二人で僕をベッドに移してくれましたが、ちょっと大変そうでした。
ベッドに移り、安静にします。
というか、麻酔が全く切れる気配がなく、下半身が相変わらず自分のものとは思えません。足を動かそうとしても動かせず、なんか超イライラします(笑)
動きたいのに動けない、「あの」感覚です。わかりますかね?
しかたなく寝ます。
その間も看護師さんが定期的に検温に来たり、尿の量を見たりしています。
自分の腰辺りから出ている透明なパイプの中を、尿が順調に通過しているので、排尿は問題なさそうです。
夕方になり会社の人がお見舞いに来てくれたので、そのとき写真を撮ってもらいました。
病人ですね。
でも、親知らずのときより全然元気ですし、意識もハッキリしています。
足の付け根辺りから出てるのがおしっこチューブです。(あえての説明するなという声が聞こえてきそうですが・・・笑)
そして19時、夕食が運ばれてきました。
この日の夕食から食べていいことになっています。
でも、まだ麻酔が切れてないので体がうまく動かせず。
看護師さんにベッドを背もたれみたくしてもらいました。今回は歯じゃないので、食べる事に関しての悩みがない点は気楽です。
手術後の右足。
包帯もさほど分厚くは巻いてません。
あ、左足の白いのは包帯ではなく、ストッキングです。
夕食後、先生が様子を見に来ました。頭痛はないか、吐き気はないか、など確認されました。
腰椎麻酔は副作用で強い頭痛をおこす人がいるようです。
僕はなくてよかった。
明日から自由に歩いていいと言われましたが、果たして歩けるのだろうか・・・。
まだ麻酔が切れてないから、痛みも感じません。
それから数時間後。
21時になり、2日目の消灯時間を迎えました。
麻酔はだいぶ切れてきて、つま先以外は動かせるようになり、なんとなくキズが痛くなって来ました。あと、少し体を動かすとち○ちんのチューブがたまに痛いです。
というわけで、無事に手術の日を超えました。
後は回復を祈るのみ。
あ、その前に、
このぶっ刺さってるチューブを抜いてもらわないと・・・。
早く抜いてもらいたいけど・・・。
あー、やだな・・・。
続く。